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富士スピードウェイ

スーパーフォーミュラ、観に行きました。






レースを観戦しに、富士スピードウェイに行ってきました。
「スーパーフォーミュラ」といって、F1のような格好をした1人乗りのレース専用車でバトルするカテゴリーのうち、国内最高峰のシリーズ戦です。

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レースウィークのサーキットを訪ねたの、調べてみたらたぶん30年ぶりくらいです。大学を出て最初に就いた仕事が"レーシングニュース"というオートバイと自動車のレースを扱う紙媒体の編集記者で、その時にできた縁で"ケガニレーシング"というレーシングチームのマネジャーを務めました。20代前半は取材をする人として、後半はレースにエントリーする立場で、毎週末のように日本全国のサーキットに出掛けていたのですが、マネジャー職を辞めてからは町を走るクルマたちの周辺事情に関わる仕事にどっぷり浸ってあっという間に30年経ったというわけです。

これだけ時間が経っていれば当然のことかもしれませんが、レースウィークのサーキットの様子はずいぶん変わっていました。はい、ずいぶん素晴らしく変わっていました。

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わたしが記者としてサーキットに通い始めた頃、レースイベントというのは、大好きなレースに夢中になっているオヤジたちと、彼らがやっていることをお金を払ってまで覗きたいというマニアックなオヤジたちの集い、という様相でした。エンターテインメントとしての要素がなかったわけではありませんが、せいぜいパンフレットが売られていたり、スタンド裏に焼きトウモロコシの屋台が出ていたり程度のことでした。サーキットの仕事はレース場としての場所貸しで、運営者の仕事は”競技”の円滑な進行役というイメージでほとんど間違っていないと思います。

わたしがケガニレーシングのマネジャーを務めていた頃、サーキットに足を運んでくれたお客さんにもっと楽しんでもらおう、お客さんとチームの間にある“あっち側のオタクとこっち側のオタク”みたいな溝を埋めよう的な取り組みが、たくさん試され始めたように記憶しています。パドックウォークが開催され、スターティンググリッドに並んだレーシングカーを紹介する格闘技のリングコールのような雄叫びが響き、ドライバーたちがチームグッズを観客席へ投げ入れ……。他にもいろいろな試みがあった時期がありました。

けれども、プロのエンターテインメントとしては、ちょっと家族的過ぎたように思います。リングにあがる前のボクサーが観客席を回って挨拶をするような、ミュージシャンがコンサート会場の入り口に立ってパンフレットを手渡しするような、なにかそういう感じを覚えたんですね。実際、チームマスコットを観客席に投げ入れるレーサーたちの姿はぎこちなかったですし、スタンドのファンにひと言どうぞ! と大声でマイクを向けられてしどろもどろになっているレーサーの姿は見るに堪えないものでしたし。

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2024年、30年ぶりに目の当たりにしたスーパーフォーミュラ、エンターテインメントとしての完成度が格段に高まっていました。各チームはレースを戦うプロフェッショナルとしての仕事に完全に集中する環境の中で、凜として輝いていました。サーキットに詰めかけたお客さんは本番のステージ上で100%のパフォーマンスを目指すプロフェッショナルたちの姿を、歓迎されている観客として楽しめる範囲の中で存分にエンジョイしているように見えました。この適切な距離感が生む魅せる側と観る側の緊張感が、モータースポーツのエンターテインメントとしての質を猛烈に高めているように感じました。

なにしろ30年ぶりの浦島太郎ですから、妙なことを言っているかもしれませんが、モータースポーツ、かなりトキメクじゃないかって素直に感じた次第です。

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それと、チームで活躍する女性の姿がとても増えたように感じました。各セクションのマネジメントに気を張る女性、職人的な表情の手で握る工具に目を凝らす女性、華の鮮やかさでストレートに観客にエンターテインする女性、等々。わたしがマネジャーをしていた頃よりもずっと多岐に渡っているような気がします。

そしてこれは性別に関係ないことですが、求めてその仕事に就いている人が放つ波動をたくさんたくさん目の当たりにすることができました。努力することなく望む気持ちを持たず仕方なくこの仕事に流れ着いた、というような人がただの一人もいない働く姿たちで構成される組織、素敵です。社会人としてデビューする前に、ぜひ自らの肌感覚に覚えさせておくべきだと思います。

プロがプロに徹する環境の中でますます輝き、楽しみは楽しみを満喫できる環境の中でもっと楽しくなる。ほぼ同条件のレーシングカー同士で争われるレースが、ドライバー同士の腕前ガチンコ勝負の気配満点で、それはそれは白熱した大興奮のバトルを楽しませてくれたこともよかったのですが、このキラキラとした人たちの光景を満喫した久しぶりの富士スピードウェイでした。

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焼けぼっくいに火が付きませんように、と気持ちを落ち着けているところです。
素晴らしい機会をいただけたこと、感謝しています。

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