'93 PORSCHE 968 CS
Rainbow Bridge Tokyo, Japan
text, photo / Munehisa Yamaguchi
好きなクルマに、乗っているかぃ?
なんとも、とんでもない趣味を持ってしまったものだと思う。身分不相応というか、とにかくお金がかかる。
大好きなクルマにハマること。
その気になればクルマ1台、手に入れることなんて容易い時代だけど、ゲタだの道具だのという動機で所有するのとは、ワケが違う。大好きなクルマを手に入れて、そのクルマに相応しいコンディションを維持し、いつでもどこへでも最高の気分で出かけられるようにし続けることの、まぁなんと大変なことか。食費を切り詰めてオイルを買うなんて、まずまともじゃない。そんなことは、誰に言われなくても、自分でいちばんよく分かっている。それでも、やめられない。まぁ、趣味ってものは、なんにしても同じようなことなのかしら、とか思って、自分を納得させてはいるのだけれども、ね。
FRのポルシェが好きで、ときどき夜中に走りに出かける。そんなにぶっ飛ばすワケではないけど、ステアリングだのシフトレバーだの、カチャカチャいじりながら1時間も走るとそれだけで、ちょっと疲れてとても満足、な気持ちになれる。
そろそろ帰って寝なきゃと思いながら、お台場を背中にレインボーブリッジの上。もうすぐ夜が明けそうなこんな時間なのに、働くクルマに交じって、どう見ても走ることが目的で走っている1台のスポーツカー。ステアリングを握って、無心に前方の一点を見つめて僕を抜かしていった若い彼。あと数時間もしたら、職場で朝礼でも受けているのかなぁ。で、そろそろタイヤ換えなきゃとか思いながら、一生懸命働いちゃうんだろうなぁ。人のことは言えないけど、お金が余っているようには見えなかったもんなぁ。
睡眠時間を削ってガソリンばら撒いて、なんて無駄なことだと思うかぃ? 僕は、そうは思わない。夢中になれることがあることは、とても素敵なこと。もしも、好きなことを充実させるために頑張って働こうなんて思えたら、それ以上の社会生活の充実感は味わえないんじゃないか、とさえ思う。もちろん、それがクルマである必要はない。何かほかの趣味でもいいし、大切な家族のためにという動機でも素晴らしいと思うけど、とにかく何もなしでははじまらない。だから僕も、大好きなポルシェを手放さない。もっと大切なものが見つかるまでは、きっと手放さない。コイツのお陰で、僕は頑張れる。
ちょっと、自己弁護っぽかったかな。
大好きなクルマにハマること。
その気になればクルマ1台、手に入れることなんて容易い時代だけど、ゲタだの道具だのという動機で所有するのとは、ワケが違う。大好きなクルマを手に入れて、そのクルマに相応しいコンディションを維持し、いつでもどこへでも最高の気分で出かけられるようにし続けることの、まぁなんと大変なことか。食費を切り詰めてオイルを買うなんて、まずまともじゃない。そんなことは、誰に言われなくても、自分でいちばんよく分かっている。それでも、やめられない。まぁ、趣味ってものは、なんにしても同じようなことなのかしら、とか思って、自分を納得させてはいるのだけれども、ね。
FRのポルシェが好きで、ときどき夜中に走りに出かける。そんなにぶっ飛ばすワケではないけど、ステアリングだのシフトレバーだの、カチャカチャいじりながら1時間も走るとそれだけで、ちょっと疲れてとても満足、な気持ちになれる。
そろそろ帰って寝なきゃと思いながら、お台場を背中にレインボーブリッジの上。もうすぐ夜が明けそうなこんな時間なのに、働くクルマに交じって、どう見ても走ることが目的で走っている1台のスポーツカー。ステアリングを握って、無心に前方の一点を見つめて僕を抜かしていった若い彼。あと数時間もしたら、職場で朝礼でも受けているのかなぁ。で、そろそろタイヤ換えなきゃとか思いながら、一生懸命働いちゃうんだろうなぁ。人のことは言えないけど、お金が余っているようには見えなかったもんなぁ。
睡眠時間を削ってガソリンばら撒いて、なんて無駄なことだと思うかぃ? 僕は、そうは思わない。夢中になれることがあることは、とても素敵なこと。もしも、好きなことを充実させるために頑張って働こうなんて思えたら、それ以上の社会生活の充実感は味わえないんじゃないか、とさえ思う。もちろん、それがクルマである必要はない。何かほかの趣味でもいいし、大切な家族のためにという動機でも素晴らしいと思うけど、とにかく何もなしでははじまらない。だから僕も、大好きなポルシェを手放さない。もっと大切なものが見つかるまでは、きっと手放さない。コイツのお陰で、僕は頑張れる。
ちょっと、自己弁護っぽかったかな。
2003 copyright / Munehisa Yamaguchi