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大好きなクルマと大好きな音楽と。

スピーカーシステム

「ヤマスピ_TEST_SONGS_01」






明日から仕事始めという方、多いんじゃないかと思います。わたしは年末から椅子に座っていられないほど体調を崩しちゃいまして、とうとう帰省も適わない年越しでした。1年間の疲れを世の中が停まる年末年始に吐きだして調整を図るこの自律系安全装置、3年に一回間隔くらいで発動するので、まあ正常ということでしょう、あはは。

さて昨日、NHK紅白歌合戦をインターネットのサービスで観ました。なかなかよく考えられた出演者の選定でよかったと思いました。B'zを観ながらスマホで調べたんですが、稲葉浩志ってわたしと誕生日が1週間ほどしか違わないんですね。自分もまだもう少し頑張れるかなと思わせてくれました……って、いったいMacの画面の中になんの幻想を見たのか。あはは、泣けてきます。

でですね、Superfly も出てましたね。"Beautiful"という曲を演ってました。イントロが流れた瞬間、”ああこの曲っ”って寝ぼけた体が少し覚醒しました。

「Superfly」、めっちゃ難しいんです。

なにが難しいかって、カーオーディオで再生するのがものすごく難しいんです。最近のポップスにしては珍しく、リミッターやコンプレッサーの掛かりがすごく薄い気がします。機材を使って音量のピークが振り切れないように抑えることで全体の音量を持ちあげ気味にして音圧を高めてパワフルな感じを演出するというのが、今どきのレコーディングの流儀だと思うのですが、Superfly はどの曲もそれぞれの音の突き抜け感をとても大切にしている感じがします。つまり小さな音から大きな音までの振れ幅が、それぞれの楽器で大きいように感じるんです。しかも盛り上がりポイントで鳴ってる音の数がすっごい多いです。おまけにけっこうな編成のストリングスはボーカルとかなり近い音域でかなり派手に弾いてくれちゃってます。ボーカルも負けじとワンワン歌い込みます。一気に何もかもがうわーって鳴る感じの盛り上がり方が Superfly の特徴なのかな、と。

ところがこれを、15センチくらいの小さなスピーカーで鳴らし切るのってほんとうに難しいです。再生ボリュームが小さいと、きっとメンバーが目指しているこれぞ Superfly という盛り上がりを感じることができません。けれどもボリュームを上げると、こんどはなにを演っているのかわからないような音団子になってしまいます。ときにわたしの仕事部屋のオーディオは、PA用のスピーカーと小スタジオ用のパワーアンプという業務用機材の組み合わせなので、オーディオマニアの方々に喜んでいただけるような色気ある眺めと無縁ですし、朴訥で淡々とした音ですが、イベント会場とかで遠くまで届くような鳴り方を使命として作られたものたちなので、民家の屋内で楽しめるくらいの音量ではまったくグシャグシャになることなく斯様な Superfly も機材の許容範囲の中に完全に収まっています。散らかった仕事部屋ですが、こんな感じです。

IMG_9421

この感じをクルマの中で、あの頃系メルセデスなら7センチ、ロードスターの各モデルでは10センチの直径しかないユニットで実現しようという壁をよじ登っているときに聞きまくったのが、Superfly のBeautiful という曲なんです。ちなみに Superfly、ある程度以上のクオリティのヘッドフォンなら、けっこういい感じに聞こえることも確認しています。ヘッドフォンの場合、大きな音で聴いていると感じていても、実はそんなに大音量にはなっていませんし、鼓膜の直近でどういう案配で音を震わせればいい感じに聞こえるのかという研究がしっかりできているんだなと感じます。もちろん、今どきの視聴環境の傾向を考えると、制作側も当然ヘッドフォンで視聴されることを想定したマスタリングをしているはずです。ただ、ヘッドフォンは耳でしか音楽を感じることができないのが残念で、わたしが目指している音楽空間の世界観とはまったく異なります。

Amazon Music のプレイリストとYOUTUBEのリンクを貼っておきます。

2024_0105

「ヤマスピ_TEST_SONGS_01」 Amazon Music



イントロのギターのクランチトーンの絶妙なざらつきをまるでギターアンプの前にいるような粒立ち感で浴びる音量感のまま、サビに入ってもグシャッとしないまま爽快に聴き抜けられる感じ。特に3分37秒辺りからエンディングに向かって大盛り上がりのアレンジを「うるさい!」と感じないまま音楽に没頭できるように楽しむことができるオーディオを愛車の中に持ち込めたら、ドライブしながらトキメキまくれたらどんなに素敵だろう、というのが、わたしがyamaguchi speaker system で目指しているイメージだったりします。

1曲だけだと淋しいので、EGO-WRAPPIN' の「老いぼれ犬のセレナーデ」もプレイリストに加えておきました。これもスピーカーシステムの開発とセッティングで使う定番楽曲です。なにしろ空間感が素晴らしい音源で、右手の指を離れる瞬間のウッドベースの弦のテンション感や指板と弦が触れる音、ギターの音から録音したスタジオの広さが見えてくるような、そういう空気感のトキメキをチェックするときに思い出す曲です。今どきはインターネットでいろんな情報が手に入るので、いったいどういうギターを使うギタリストなんだろうと思って調べてみて、こういうギターと、なになにヤマハのトランジスタアンプがお気に入りなのかか、なるほどね、こういう感じの音がしそうだねなんて、そんなことも楽しい、そういう音楽空間を身近に持っているってほんとうに人生を楽しくするよなってそう思うわけです。

ぜひ、ご自身の愛車でこの2曲を試し聴きしてみてください。そしてもし、この2曲についてヤマグチはどう取り組んだのよ? ということに興味を持っていただけたのなら、いちど試聴してみてください。

試聴していただけるNDロードスター(幌車/アバルト124スパイダーも同型です)は都内か大井松田にあります。W124は茅ヶ崎です。PORSCHE 993(964も同型です)、NAロードスター、NCロードスター、S124、A124は、オーナー氏のご協力が必要ですが、ほとんど神奈川県内にあります。

いずれも、I.Y.A.Garage の岩間くんに電話をして問い合わせてください。電話を掛ける時間帯は、常識的な範囲でお願いいたします。
090-7630-1461



というわけでさてさて、明日から世の中が動きます。わたしも遅れないようについてゆこうと思います。



Superfly『Beautiful』/YOUTUBE


Ego-Wrappin' 『老いぼれ犬のセレナーデ』/YOUTUBE





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W126スピーカーシステム Seri.3 製品版1号機、まもなく






あの頃系メルセデスW126 スピーカーシステム・シリーズ3、年の瀬になってようやく製品版の部品が1セット分完成しました。

フロント用、リア用、純正フロントシート用
BassPLUS+キット、です。今回もけっこう複雑なリクエストで加工をお願いしたのですが、図面、あるいは手削りの型を忠実に再現してくださった職人さんにはほんうに感謝です。CFRPFRPそれぞれの専門家の知見を踏まえたアドバイスを交えながら、1つひとつのカタチが仕上がってゆくわけです。

クリスマスの週は、都内での取材にはじまって、大阪、兵庫、名古屋とほぼ旅の人状態だったので、晦日の本日もわたしが行うべき製作作業を進めています。1月中には、長期お預かりの後、一時退院いただいているW126に再度ご来場いただき、リアスピーカーも交えたDSPフルシステムを完成させます。


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写真は、わたしのガレージで行う最終加工の途中の状態なので、きちんと完成したら改めて写真を撮りますね。

思えば、わたしのW126のフロントスピーカーで試作を始めた2011年2月。手加工のウェットカーボンのバッフルボードにフォステクス製FE83Enをポン付けしたおもちゃみたいなものをダッシュボードで鳴らして、でもそのときすでに職人さんに無理を言ってカタチにしてもらったFRP製W126専用エンクロージャーは組み合わせていたのですが、きっとこういう感じのハズ!という期待に反したスカスカでキンキンしている鳴り音に愕然としたところから、ヤマグチスピーカーシステムは始まっています。

音の回り込みを遮断する、聴き疲れの原因を排除する、車外への音漏れを圧倒的に減らす、繊細なホームオーディオ用スピーカーユニットを過剰動作によるノイズを回避しながら鳴らし切る……1つ解決すると、また次の課題が見えてきて、ほんとうにやるべきことがこんなにあるのかという感じだったことを思い出します。

板を買ってきてスピーカーのっけて鳴らすだけでは絶対に超えられない……つまりヘビーデューティ仕様な車載用ではないユニットを使いながら、ノイズが出てこない小さい音で我慢して……というところから離れて、車内でしか味わえない音楽を浴びる感激まで到達することに、自分がやる意味があるというか、家と同じだったら家で聴けばいいわけで、クルマの中でしか楽しめない新しいエンターテイメントにまで昇華させた「何か」を作るんだ、という目標の達成は、そんなに簡単なはずないじゃないか的だったわけで。当たり前ですよね、新車発売から40年間もあったわけで、そんなに簡単なら39年くらい前に誰かが完成させて提案しているわけで。

ま、よけいな話が長くなりましたが、今年の夏頃からサウンド検証用の試作までだったW126用スピーカーシステムのすべてのアイテム(フロント/リア/BassPLUS+)の、製品版の1号機が完成間近になったことで、ようやく安心してオーダーを受け付けられるようになりましたというお知らせです。

お問い合わせ、お申し込みは、以下のリンクからお願いします。
すでにお問い合わせをいただいている方には、ようやく整った正確な情報をもとに順次連絡をいたします。

【W126スピーカーシステム】

ちなみにサウンド検証用で鳴らしたサウンドは、ですね……車内の空間がゆったり広々してるW126の特徴をドキドキするほどの音楽空間に上手に活かすことができていると確信しています。

W126オーナーだけの特権、もちろんあるべきでしょう。それ、わたしが用意します。




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深夜のスピーカーシステム






なんだか疲れてしまって11時頃に布団に入ったら、やっぱり午前3時頃に目が覚めてしまって。もう一度頑張って寝てもよかったのですが、まあ身の回りじゅう、“遅れていること”だらけなわけで、今晩ひと駒進めると少し気分が楽になるかもしれないなと思って、ガレージに降りました。

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NAスピーカーシステム type2の片側から音が出なくなってしまったので診てほしい、という方のスピーカーシステム。スピーカーユニットのコイルがとんでいました。ロードスター、特に走行音が大きいNAでは、思っている以上に音楽を再生するボリュームがあがってしまう傾向があります。音が大きくなっても何を演ってるのかわからなくなる……という状況が、ほとんどの人がNAロードスターで音楽を楽しむことを諦めてしまった理由なのですが、そこをなんとかしようというところが開発の目的だったわけで、type1の完成時にかなりのところまで到達できたと自分的には思っています。

ところが、幌を開けて走っているNAロードスターで音楽が聞こえてくる、音質的にもかなりイケてるじゃないか、こんなの今まで経験したことない! ということになると、こんどは“もっともっと”、という気分になるわけで、ボリュームをどんどんあげていくわけで、実はそれでも音が割れたりということが起こらないようにいろいろ考えて作ったこともあって、まだいけるまだ大丈夫とボリュームダイヤルを右に回して、ということが無意識に行われるようになって……。

それはそれで、すごくうれしいことなのですが、今回のように壊れてしまうこともあります。4年半ほど頑張ってくれて、わたしのところへ一時里帰りでございます。


NAtype2に使っていたデンマーク製のスピーカーユニットが怖ろしく高額になってしまったことと、さらに高効率で、つまりボリュームダイヤルを少し控えめな位置にしていても同じ感覚で聴ける音量感が得られ、構造的にも大きな入力にへの耐性が高いと判断できるスピーカーユニットを使用しているという理由で、type3へのバージョンアップを兼ねた修理をお勧めしました。


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type3にバージョンアップする際に、エンクロージャー以外すべての部品を交換します。配線や端子、ねじ類は、エンクロージャーに使われているものも含めて、すべて新品に交換します。またエンクロージャーのコンディションで気になるところがあればその改修も行いますし、当然、全体にわたってできる限りのクリーニングを実施します。


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深夜のガレージで、手のひらの上でスピーカーシステムの改修作業をしていると、前回自分の手のひらの上で完成してから、今日また再び自分の手のひらの上に戻ってくるまでの間に、どんなところを走って、どんな音楽を奏でて、オーナーとどういう思い出を共有してきたんだろうとか、そういうことをふと思います。

どんな仕事をしている人もきっと、自分の汗の成果がどこかで誰かの役に立っている幸せのきっかけになっている、かもしれないと思うことって、あるんじゃないでしょうか。わたしはスピーカーシステムにしても原稿にしても、とてもわかりやすいカタチで成果物を世の中に投じることが適う仕事に就くことができています。そのことの幸せを感じること、いつもいつもあります。だから深夜の作業も自分の中で消化できるんじゃないかなと考えています。

体を気づかってくれる人がたくさんいることもとても幸せに感じていますが、働きながら……例えばキーボードの上に突っ伏してMacの画面が「っっっっっっっっっっっっ……」みたいな文字で埋め尽くされるような、ガレージの作業台で接着剤が指先をベタベタにした汚い格好のままとか、そういう死に方、大いにけっこうというか、最高に近いくらい幸せかもしれないと考えています。見つけた人には申し訳ないけど。。。まあ、温かい布団の上の方がやっぱりいいかもだけど。

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というわけで、そんな悲愴な話をしたかったわけでなく、作業が終わったら朝6時過ぎで、これを書いている間に7時18分になって、今日も始まったねというお話でした。


そうそう、いまIwamaYukiAudioGarage で預かっているNAロードスター、普通のカーナビにiPhoneつないで、DSP機能のない普通の4chパワーアンプとサブウーファーという現在の組み合わせから、DSP制御の3Dシステムにバージョンアップしたいというリクエストを頂いているクルマですが、現時点の記録という感じのスマホ撮影の動画がIYAGarageからアップされていました。NAロードスタースピーカーシステムtype3の、ほとんど素うどん状態での再生音はこんな感じです。素うどんでもとても美味しい、というのがyamaguchiスピーカーシステムすべてのモデルに共通した特徴です。素が美味くないと、その先が成り立たないんです音響システムでも、ほんと。

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【動画のリンクは、こちら】


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パワーアンプを車内のどこに置くべきか。






今はたった1つだけになった雑誌の連載、歳を重ねるごとに産みの苦しみが大きくなってきてます。以前に比べると圧倒的に書きの量が減ったことが原因なのか、単に脳が寝ぼけてきているのか。いずれにしても、何時間Macの前に座っていても一歩も進まないようなときは、いったん別のことに集中するしかない性分は昔から変わりません。

ギターを弾いたり本を読んだり……もできない気分のときは、溜まっている別の仕事に掛かります。例えば、ヤマスピ関係のこと。複数の別作業が団子になっていて、こっちはこっちでアタマがこんがらがりそうですが、10月末〜11月中にI.Y.A.Garage で取り付け&セットアップを依頼するクルマ用のパワーアンプボードを仕上げることにしましょう。。。。

で、3つ仕上がりました。

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左上は、現在BassPLUS+までのDSPセットアップで楽しんでいただいているNDロードスターオーナー氏が、2024年モデルND-RFに乗り換えるということで、この機に3Dシステムを実現しましょうという提案を実現するためのアンプボードです。この方はすでにSR4.500というパワーアンプに、AP4.9bitというDSPパワーアンプを加えたシステムを組まれていてですね、とても気に入っているSR4.500で鳴らすメインスピーカーの音を残したいとのこと。確かに、audison製のSRシリーズというパワーアンプは、ぐいぐいととても力強い音傾向があって、これは力強さと繊細さを兼ね備える傾向のAP FやAFシリーズとはまた違う趣がいい感じなんです。ロックやブルース、ソウル、ゴリゴリ系のジャズの熱い要素に痺れちゃう人には、この深イイ感じの鳴り気配、ほんとうにお勧めです。アメリカ製だった頃のロックフォードのアンプと同傾向、ギターならストラトキャスターではなくレスポールのフロントみたいな……わかりませんね。ともかく、3D化のために必要な9チャンネル分を確保するために開発車から外したJBLパワーアンプを追加したシステムで組むことにしました。

上記とおなじロードスターのための右となりのアンプボードは、AP 4.9bitというDSPパワーアンプをトランク右側の内装材の裏に取り付けるためのものです。NDロードスターのRF(ハードトップ)モデルでは、車内シート後方中央の小物入れが車両の構造上パワーアンプ収納のために使えません。現在お乗りの幌車では小物入れ内に設置してあったのですが、新しいクルマではトランク右側に引っ越ししてもらうことになりました。

その下は、これも2024年モデルのND-RFに装着するためのアンプボードです。AF M8.14bit、AF M1Dを使ったNDロードスター用の3Dシステムは、現時点でわたしが実現できる最高峰のNDロードスターのための音楽環境です。

右となりの小さなボードは、B-CONというハイレゾBluetoothの受信機です。LDACという規格を備えたBluetoothガジェットからの電波を受信して、光デジタル出力します。光出力にはTosLinkという規格の端子が使われるのですが、これがとても弱々しくて不安定な端子なんです。東芝が1983年に開発した規格ですが、家庭用としての規格で、車載される可能性などイチミリも想定してなかったんでしょうね。


で、実はここからが本題です。相変わらずの長大枕でごめんなさい。


カーオーディオのパワーアンプ、どのような取り付け方がベストなのでしょうか。

わたしは、5つのことをテーマとして自分に課しています。

A)車両に加工・改造を施さないこと。
B)車両の機能をできるだけ残すこと。
C)車両の純正デザインをできるだけ崩さないこと。
D)交通事故という万が一に徹底的に配慮しておくこと。
E)格好がいいこと。

A)は、yamaguchi speaker system 全体を通じてのテーマです。豊かな音楽環境を実現することは多くの人にとっての夢であり、わたしにとっての目標でもあります。けれどもそのために、大切な愛車に加工や改造を加えるようなことは絶対に避けるべきだとも思っています。すでに何十年も生き残ってきた貴重な車体はもちろん、今は新車でも長く乗り続けるつもりがあるなら、悪いことは言いません、切った貼ったの改造は避けるべきです。元には戻らない傷痕を前に残念な思いをするときがきっと来ます。もし売却することになったとしても、加工や改造の痕跡は100%マイナス査定です。オーディオに限らず、どんなに高性能・高価格な装備品によるカスタムであっても、車体自体は無加工・改造であることがプラス評価の最低条件です。

B)例えばワゴンやバンのラゲージスペースを占有してレイアウトされたアンプ群や、トランクを開けると荷物の代わりに鎮座しているサブウーファーボックスを、わたしは好みません。クルマには、人や荷物が移動するというそもそもの目的があります。純正オーディオやカーナビ、ハンズフリーフォンなどの機能にも、快適なドライブのための工夫が盛り込まれています。そのような、もともと車両に備わる機能をできるだけ純正のまま残すこと。言い換えれば、スピーカーシステムをインストールすることによって消滅してしまう、そのクルマならではの機能・性能を可能な限り少なくすることをとても重視しています。例えばあの頃系メルセデスでは、セダンでもワゴンでもラゲージスペースをほぼ100%確保したままの取り付け方法を実現しています。マツダ・ロードスターやポルシェ空冷911でも同様です。NDロードスターでは、DSPフルシステムを組んだ場合でも、マツコネに備わる機能は完全に使えますし、例えばシートをフルバケットタイプに変更した場合でも、後付け感満載のスピーカー移設を行うことなく、ナビの音声案内やハンズフリーを可能にする方法を実現しています。

C)自動車メーカーのエンジニアやデザイナーと膝を付き合わせてじっくり話す機会が常套の仕事を長くしてきたことは、わたしの自動車に対する考え方にとても大きく影響しています。例えばデザイン。そのクルマを買ってくださったお客様が四六時中目にすることになるインテリア、中でもダッシュボードと呼ばれる前方に拡がった空間のデザインは、ほとんどの場合まったく手抜かりなく、担当するデザイナーたちの100%の力で造形されています。ヘッドライトを正面に見据えて眺めたときの外観の表情に勝るとも劣らない、ここがデザイナーの腕と感性の見せ所だったりするわけです。そして、その両サイドに腕を拡げたようにインテリア全体のデザインがつながってゆきます。ツィーターもメインスピーカーも、純正ままの内装材の向こう側に隠れるように取り付けられるように設計するのは、自動車メーカーのデザイナーと、デザイナー発の造形の実現を可能にしたエンジニアへの、わたしなりのリスペクトの証だったりします。言うまでもなくオーナー氏がそのクルマを選んだのは、わたしの作る音楽空間の遙か以上に、そのクルマが気に入ったからに他ならないからですものね。そう、パワーアンプの話でした。もちろんパワーアンプボードも、リアトレイの上に置いたり、ラッゲージルームの印象が変わってしまうほど存在を主張させたりしません。

D)クルマは100km/h以上の高速で、人を乗せて、進路を約束された軌道上ではないフリースペースを、自らもそうであるように様々な事情や状況や都合の下に繰り出してくる不特定多数の未知の人たちと混在した状態で移動する乗り物です。つまり、不可避の交通事故が発生する可能性を否定することはできません。そのときに、わたしが車両に取り付けたものが、それを選んでくれた方やその方の大切な人たちを傷つけるようなことは絶対にあってはならないと考えています。これも、自動車ジャーナリストとして自動車を研究するエンジニアたちとの交流が与えてくれた知見ですが、いわゆる衝突を伴う交通事故の発生時、車内はとんでもない事態に陥ります。荷物の類はもちろん、しっかりと固定されていないあらゆるものが勢いよく飛び回ります。例えば50km/hで衝突事故を起こした場合、近年の車体は衝突の加速度を直接乗員に与えないように、グシュグシュと潰れながら衝突エネルギーを時間で分散させる手法で命を守ります。けれども車内に無造作に置かれたものたちは、衝突した速度で射出されて、もはや空中に飛んでしまったそれらの勢いを抑制する理屈などなく、何かにぶつかったときに急激にゼロkm/hの速度まで減速します。もし乗員の顔面に2kgほどあるパワーアンプ、つまり金属の塊が50km/hで衝突したら……。あるいはシートの下に簡単に設置されたパワーアンプが、何かの衝撃で前方に滑り出してペダル類の操作を妨げるようなことになったら……。そういう不幸の原因になりたくない気持ちがあることは、自動車用品を設計する人に絶対に求められる条件だと思います。わたしが作るパワーアンプボードは、ただの取り付け板ではありません。すべて、ボルトを使ってしっかり車体に固定される仕組みになっています。マジックテープで貼り付けるみたいなことでいいわけ、ないだろうと、わたしは考えます。そして、それらを車両への加工・改造ゼロで実現する方法を見つけるのが、わたしの小さなやりがいだったりします。

E)まあ、見た目の格好がいいか悪いかは、つまり好みか好みでないかということで、各人の嗜好の違いによるところが大きいという意味では、なんという稚拙な課題だとも思うわけです。なのでこの項は、上記A〜E)までを実現するために与えられた条件、制約の中で、ヤマグチ的にそう感じられる精一杯の努力義務的なヤツだと思ってください。それでも、手に入れようと感じる憧れや、手にしたときのトキメキ、自分のものとして日々を共に過ごす満足感優越感達成感、とか、そういう事ごとを高めるための要素として、格好いい! ことは、とてもとても大切だと思うわけです。この項に関しては、まあそれだけです……w


上記の要素を満たすために、例えばNDロードスターでは、下の4つの取り付け方法を用意して、複数台のパワーアンプを使用する場合は、オーナーのクルマの使い方に合わせた組み合わせで対応するようにしています。

1)NDロードスターのパワーアンプ取り付け場所として、最初に設定したのがシート後方中央の小物入れです。〜2023年モデルCD/DVDプレイヤー有、〜2023年モデルCD/DVDプレイヤー無、2024年モデル〜、の3種類ボード形状があります。ND-RFモデルでは、この場所を選択することができません。
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2)は(1)の次に設定したのがトランク左奥壁面です。SR5.600、SR4.500の外寸が大きなパワーアンプは、この位置への取り付けが標準となります。この場所の裏側には、給油口から燃料タンクへつながるホースやパイプ類があります。万が一、トランクスペースが全壊するような追突事故に遭った際にもそれらを傷つけることがないよう、アンプボード背面に突き出すねじの高さや形状などに細心の注意を払ったデザインとしています。もちろんAP、AP F、AF M/C といったわたしが使用しているすべてのパワーアンプは、この場所に設置することができます。

3)は、2台目のパワーアンプを設置するために(2)の次に設定しました。SR5.600、SR4.500 以外のすべてのパワーアンプに対応できます。
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4)内装材の裏側に見つけたわずかな空間を利用したこの設置位置は、内装材を組み戻すとパワーアンプの存在を完全に隠すことができます。すなわち、トランク容量を完全に100%確保したままの取り付けが可能になります。ヤマスピを愛用してくださっているマツダ元副社長・藤原清志氏のNDロードスターには、(1)と(2)の組み合わせの3Dシステムをセットアップさせていただいたのですが、後日「機内持ち込み用スーツケースx2個の積載が可能」という開発コンセプトがキープできなかったのは残念だ、というコメントをいただきまして。わわわ、そういえばそのコンセプトを自分も知っていたはずなのに、自分で設定した(B)のコンセプトを守れていないじゃないか!とかなり焦って編み出した取り付け方法だったりします。AP、AF Cシリーズは木製のボード、AP F、AF MシリーズはCFRP製のボードとなります。大型のアンプを搭載するCFRPボードの裏面には、バンパーカバーの裏側に隠れている車体既存の空気抜き口の辺りと重なる位置にアルミ製の放熱フィンを取り付けています。(1)が使える幌車であれば、(1)と(4)の取り付け位置を組み合わせることで、いちばん下の写真のようにトランクスペースを100%確保したまま、ハイパワー仕様の3Dシステムを完成させることができます。つまり、2人分のスーツケースをトランクに収めてヤマスピが提案できうる最高峰の音楽空間で2人の気分を盛り上げながら空港に向かうことができる、というわけです。

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そうそう、ご紹介したこれらの方法すべて、もちろん内装材の切れ込みひとつもなく、車両無加工・無改造で実現しています。いつでも、完全に純正の状態に戻せます。実はその実現がなにより難しいことだったり、します。



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情景が蘇る・情景を遺す、そういう音を。






みにくい「自前サーバーブログ」が続いていますが、もうしばらくご辛抱ください。facebookに寄せられた視聴環境ごとの見え方について、対策を検証しています。


この方のNAロードスターに音楽のある空間を加えさせていただいたのは、ちょうど1年ほど前になります。NAロードスタースピーカーシステムtype2、3Dシステム、BassPLUS+をDSPパワーアンプでセットアップするフルシステムです。

詳しいことは、過去に書いたブログに詳しく書きましたので、そちらをご覧になってください。

『音楽は、心に響くもの。』


一昨日、IYAGarage へ試聴に来てくださった方にも訊ねられたのですが、わたしがスピーカーシステムを通じて創りたいのは、大好きになってもらえる音楽空間で、スピーカーシステムそのものの開発も、音響機材の選定もそれらのセッティングデータの書きあげも、そのために必要な要素を抜かりなく積み上げることに努めているだけだったりします。オーディオ趣味に精通されている方ならよくご存じだと思う「リファレンス」とか「原音再生」とか「高級=高額=良音質」というような事ごとを目指したり推奨するようなことは、考えたこともありません。数字で表せる高性能なものをつくりたいわけではまったくなく、ただただ惚れてもらえるものの正体を追い求めているわけです。

惚れてしまう、すなわち琴線を響かせる要素のひとつに、在りし日の情景を想起させるような感動体験があると思います。

今回、この方が愛車のNAロードスターにご夫婦で収まり、スピーカーシステムの仕上がりを確認していただいたときの様子は、まさにご自身が刻み遺した轍の姿を確認できたことへの感動だったのだと理解しています。かつてDJとしてパフォーマンスを披露していた頃に好んで選曲した楽曲では、客にしっかりと伝えたいキメのフレーズのきらめきを確認し、坂本龍一のピアノが奏でる旋律に彼にしかわからない記憶が甦り、そして奥さまの愛聴曲への興味がふくらみ……そういう様子が収められています。

そのような様子を目の当たりにして、ご当人以上にわたしが感激してうれしくなってしまったのは、オーナー氏は数年前に片耳の聴覚をほぼ完全に失い、大好きだった音楽をむしろ遠ざけるような日々を過ごしていたことを伺っていたからでした。

彼の片耳は音を感知するセンサーとしての機能を失ってしまいましたが、彼の脳に刻まれた音楽の記憶は、それ以外のすべてのセンサーを通じて彼に入力された情報によって大好きなロードスターの車内にくっきりと蘇っているのだと、そのように映りました。思わず両手を拡げて左右の空間の中に浮かぶ音楽をイメージするような姿に、事情を伺っていたわたしには信じられないような光景を見ているような気持ちになりました。


鼻先をキンモクセイの香が撫でるとふと思い出すような何か……のような体験、誰しもにあると思います。それと同じように、記憶の彼方に置いてきたような情景が蘇るような音楽空間を創って、それを必要としている人に届けてみたい。そして欲を言えば、愛車の中で過ごした今日の記憶を何年も先にふと思い出したときに、その情景の一つの色としてわたしが創ったスピーカーシステムから流れる音楽が蘇るようなことがあれば最高じゃないかと、そう思うわけです。







現在、ウェブサイトを全面改修しているため、スピーカーシステムへのリンクが切れています。スピーカーシステムの製作、試聴については、I.Y.A.Garage 岩間くんへご連絡ください。追って、ヤマグチが対応させていただきます。
090-7630-1461


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NCスピーカーシステムの話をもう少し。






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昨日のブログ、出掛ける前のドタバタとした時間に慌てて書いたので、後で読み返すとなんだかとても雑でした。
写真の説明が特にひどかったので、そこだけもう少し詳しく書き直します。


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写真は、ドアスピーカーを取り付けるところのものです。5ミリ厚のベースボードの上に、24ミリの土台を組んでそこにエンクロージャーを載せ、その上にスピーカーユニットを組み込んだバッフルボードを取り付けます。

ずいぶん大がかりな構成ですが、イメージする音を実現するために必要な要素を漏れなく実行したらこうなってしまいました。どれも省略できなかったということです。

例えば、取り付け部周辺の、いかにも共振しそうな平らな鉄板を覆いながら既存のスピーカー取り付け穴を塞ぐためには、このくらいの面積のベースボードが必要です。面積がとても広いので、少し厚めの5ミリ厚のCFRPを使いました。とても大きな強度を持つCFRPですが、実はそこそこしなるので、形状や大きさごとに厚さを変える必要があるんです。

ベースボードの妙な格好の外周は、最後に取り付ける樹脂カバーに干渉しない範囲で目一杯広い面積を取った結果です。L字型の切り欠きは、樹脂カバーの脚に干渉しないためのものです。とにかく、スピーカーシステムを取り付ける周辺をしっかりとした強固な土台として仕上げること。これが、基本です。

その上に24ミリ厚の土台を積み上げます。

NCロードスターは、ドア戸袋車内側の鉄板からウインドウレールまでの距離がとても浅く、このような土台がないと、必要な容積のエンクロージャーを実現するための奥行きが取れません。実はBOSE仕様を含めた純正スピーカーは、戸袋のサービスホールを塞ぐ防水用樹脂パネルの凸部のてっぺんにねじ込まれています。ネットで調べると、多くの人もその樹脂パネルの凸部に取り付けボードを介してスピーカーを取り付けているようです。ただ、これではメリハリのある明瞭な音の再生は難しいです。

音の明瞭感を実現するために考えることの例として、「枕の上の目覚まし時計」という話をよくします。柔らかい枕の上で鳴る目覚まし時計の音は、音に変換される前の振動が大量に枕に逃げてしまいます。本来ならば、自分を起こしてくれるはずのエネルギーは、音になる前に枕を震わすために使われてしまうわけです。もし仮に、目覚まし時計をしっかりとして硬質なボードに取り付けたとしても、目覚まし時計の振動はやはりボードを伝って枕に逃げていってしまいます。まくらが極小に見えるほど巨大なボードを用意すれば、また別の話になりますが、あまり現実的ではありません。いずれにせよ、朝きちんと起きたければ、目覚まし時計の置き場所は、枕のようにダンパーの役割をするものの上ではなく、内部損失の少ないしっかりとした土台の上が最適というわけです。

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しっかりと組んだ土台の上に、スピーカーユニットを組み込んだバッフルボードを固定します。


2024_0913_03

実は、バッフルボードの外周は円形ではなく、カムのように一部が欠けた形状になっています。これは、BOSEスピーカーサイズに切り抜いた純正樹脂カバーに干渉させないためです。車両を加工・改造しない取り付け性能を実現しながら、同時にスピーカーシステムの取り付け位置をめいっぱい手前に引き出したいという音へこだわるための理想も捨てたくないとふんばると、あっちもこっちもこのような工夫だらけにならざるを得えません。このことは、NCロードスター用に限らず、すべてのスピーカーシステムに共通した特徴です。タッピングビスでドアパネルに穴を開けていいよということならば、イチミリも頭を捻る必要がないところです。


そういえば、IYAGarage 岩間くんから、NCの取り付けひとまず完了ですという写真が何枚か送られてきました。トランクの中は既設のパワーアンプの上に2階建て構造でDSP(アンレス)を搭載してます。いまは剥き出しの配線類を隠せば、もう少し美しく仕上がるでしょう。

2024_0914_01


というわけで、今日はあと4時間くらいしたら、IYAGarage に向かいます。まずは、このDSPにPCをつないでセッティングを行います、オープンとクローズを作らなくてはいけないので、お昼頃までは掛かると思います。その後は、オーナー氏が夕方に引き取りに来るまでは試聴していただけます。

車両の仕度の都合があるので、何時ころに行きたいんだけど……的なお電話を事前にいただければ助かります。連絡をいただければ、わたしも帰らずに待っています。
I.Y.A.Garage 岩間くんへご連絡ください。
090-7630-1461
神奈川県足柄上郡開成町延沢602-1

3Dフルシステムを装着したNDロードスターとW124も試聴していただくことが可能です。



※ぜひ、Facebookでわたしをフォローしてください。ブログよりも更新が楽なので、スピーカーシステムの話、クルマの話、はるかにたくさんの発信をしています。簡単な動画ですが、スピーカーシステムの音を車内で録音したファイルも、Facebook内にはたくさんあります。鑑賞だけならアカウントは不要です。下のFacebookのURLから飛べます。

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NCスピーカーシステム、幸せになれます。






みにくい「自前サーバーブログ」が続いていますが、もうしばらくご辛抱ください。facebookに寄せられた視聴環境ごとの見え方について、対策を検証しています。

NCロードスタースピーカーシステム、シリアル0000番の試作機、オーバーホールが終わって車両に戻す作業をI.Y.A.Garage にお願いしました。

いくつか追加のシステムアップ項目があったので、わたしも機材周りを手伝って、音が出るところまでは作業に付き合いました。午後3時半から始めて、メシも食わずに午後9時頃まで掛かりましたが、音出しのテストも無事終えて帰路に就きました。金曜日、岩間くんが内装の組み付けをきちんと仕上げて、土曜日に引き取りに来るオーナー氏にお返しすることができるでしょう。


NCロードスタースピーカーシステムが、なぜこんなにたいそうな姿になったのか。

土台は絶対に大切なんです。しかも樹脂製の薄い土台の上に、どんなにしっかりした土台を載せても、それは樹脂製の土台の効果止まりなんです……というあたりの話は、長くなるのでまた今度。

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2024_0913_03


前回のブログでお話ししたとおり、ラウドネスオンで低音高音ぶんぶん、音響エフェクトでさらに極端なイコライザー効果ぶんぶん状態で鳴らし続けた結果、スピーカーユニットが壊れてしまったことが今回の作業の理由です。ということはつまり、また同じ環境にスピーカーシステムを取り付けた場合、またうっかり鳴らし壊してしまう可能性もあります。そこでオーナー氏と相談して、DSPを取り付けてもらうことにしました。

・NCロードスタースピーカーシステム(パッシブネットワーク回路付き)
・NCロードスター サブウーファーキット
・BassPLUS+
・audison SR5.600パワーアンプ(4ch + 1ch)
・古い2DINサイズカーナビ
・【audison bit Ten-D (アンプレスDSP)】
・【audison B-CON(Bluetooth受信機)】

【カッコ】内が今回追加した内容です。


これまで使っていたとても古いカーナビは、RCAラインアウト端子が付いてなく、内蔵パワーアンプを経由した出力をパワーアンプに送り込んでました。前回のブログでも説明したとおり、バッテリー端子を抜くような整備を行うと自動復帰するデフォルト状態が、ラウドネスやサウンドエフェクトがオンの凄まじい音づくりのこのカーナビヘッドユニット。スピーカーの質が良くなくてもそれなりな"感じ"に聞こえさせようという狙いで設計されたのだと思います。つまりストレートに言っちゃうと、音楽なんて聞こえればいいじゃんくらいのオーディオ品質優先度で、CDを掛けてもすごく平坦な感じの音楽しか聞こえてこなかったんです、実は。

オーナー氏は、ヤマスピのことをとても応援してくださる方で、その熱意たるや、ロードスターのイベントでも自発的に試聴会を開催してくださるほどだったりします。そのような日頃のお礼の意味も兼ねて、ガレージで眠っていた bit Ten-D を無償で差しあげることにしたのが、今回のシステムアップのきっかけです。眠っていた機材とはいえ、発売当時は、他に選択肢がないような素晴らしい機材でしたし、かつてわたしのW124で使用していた機材そのものだったりします。

DSPを使うためにデジタル接続が必要になるので、audison B-CONを使用することにしました。今となっては旧型の bit Ten-D は、96kHz/24bit を超えるサンプリングレイトの音源を流し込むとフリーズしてしまうのですが、B-CON のBluetooth受信限界は 96kHz/24bit なので、ちょうどいい具合の関所になります。有線で192kHz/24bit をスルーアウトさせる機能も備わっているのですが、今回はその端子は使いませんから。


で、昨日のうちに音が出るところまで組み上げての感想は、やっとホンモノのNCロードスタースピーカーシステムの音に出逢えた、というものだったりします。DSPはまだクロスオーバーネットワークを簡単に割り当てただけ……つまり、SR5.600にも同じくらいのことができるネットワーク調整機能は付いていますから、SR5.600を素で鳴らしているのと同じです。それなのに、こんなに澄んだ音が聞こえてくるなんて。

音源のクオリティの重要性とそこまで神経質にこだわらなくてもいいよ提案については、またこんどゆっくり書きたいと思いますが、今回ばかりはかなり驚きの結果となりました。

土曜日の朝、組み上がったNCロードスターが待っているI.Y.A.Garageに行って、DSPのセッティングを行い、仕上げます。午後には完成していると思うので、ぜひ聴きに来てください。デモカーの用意がないモデルなので、いつかまた今度は、ご縁がなかったということで、というのとほぼ同意かと思います。わたしも夕方までおりますから、いろいろなご質問に直接お答えできます。ぜひ、に。

瞬間芸みたいなiPhone撮影動画ですが、NCロードスタースピーカーシステムの素の音です。




車両の仕度の都合があるので、何時ころに行きたいんだけど……的なお電話を事前にいただければ助かります。
I.Y.A.Garage 岩間くんへご連絡ください。
090-7630-1461
神奈川県足柄上郡開成町延沢602-1

当日は、3Dフルシステムを装着したNDロードスターと、W124も試聴していただくことが可能です。



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今週末、NCロードスター試聴できます。






みにくい「自前サーバーブログ」が続いていますが、もうしばらくご辛抱ください。facebookに寄せられた視聴環境ごとの見え方について、対策を検証しています。

NCロードスタースピーカーシステムの試作機をオーバーホールしています。試作にご協力いただいたオーナー氏のナビゲーションヘッドユニット、ラウドネスなど賑やかなエフェクトがオンの状態がデフォルトのようで、バッテリーを外すような整備を行うと低音高音が思いっきりブーストされた音質調整に戻ってしまいます。どうやらうっかりそのままの状態で使用されていたようで、鳴らし壊してしまった感じです。

取り外したNCロードスタースピーカーシステムの試作機、シリアル0000番です。test 2021.5.29 とあります。3年半、お疲れ様でした。

2024_0911_01


試作機なので、製品版と少し形状が異なるのですが、基本は同じです。いろいろと書き込みがあって試作機っぽさ満点ですが、何かを気取って書いているわけではなく、世の中にコレ1つしかない……みたいな段階では、実機に書き込みをしておかないと、部品同士の位置関係や製品版への変更箇所などがわからなくなってしまうからなんです。

2024_0911_02


いま改めて眺めてみると、よくこんなものを作ったと思います。ドア戸袋の大穴をふさぐための大きなベースボードは5ミリ厚。NCロードスターのスピーカー取り付けの様子をみていると、樹脂製の戸袋穴塞ぎのパーツの上にベースボードを固定して、そこにスピーカーユニットをねじ留めしている方が多いようですが、あれではダメです。グラグラの木組みの足場の上に建てた城のようで、スピーカーボードがしっかりしていればしているほど、スピーカーから発せられた音振動はグラグラの足場に伝わって薄まってしまいます。しっかり感が期待できない樹脂製パーツに取り付けるのであれば、むしろどれだけフローティングさせられるかという発想の方がおもしろい結果につながるような気がします。やったことないですけど。

NCロードスターの場合、鉄製の戸袋に空いている穴が大きすぎて、これをベコベコしないようにしっかり塞ぐには、CFRPを使っても5ミリくらいの厚みが必要だと理解してください。

その上に、24ミリ高の丸い土台を作って、その上にエンクロージャーを載せ、その上からスピーカーユニットを固定したバッフルボードを重ねます。どの部品もけっこう大きいです、加工を含めた原価、とんでもない金額になりました。こういうふうにしないとダメだとわかっていたので、NCロードスター用のスピーカーシステムはロードスターの中でいちばん後回しになりました。いったいどれだけコストが掛かるのよ、という大問題が起こることがわかっていたので。

2024_0911_03



まあ、そんなこんなの経緯はありましたが創ってしまったというわけで、今回、スピーカーシステムのオーバーホールを機に、むかし使っていたDSP=
audison bit Ten-D という機材を使って、既設のSR5.600パワーアンプを駆動するシステムを組みます。パワーアンプのチャンネル数の関係で、ツィーターとメインスピーカーを1チャンネルとしてカウントする(クロスオーバーネットワークはスピーカーシステム付属のパッシブ回路です)簡易DSPセットアップですが、ラウドネスがぶんぶん鳴るシステムからバイバイできます。

NCロードスタースピーカーシステム
NCロードスターサブウーファー
BassPLUS+
audison vit Ten-D
audison SR5.600 パワーアンプ

今週の土曜日の午後、I.Y.A.Garage に来ていただければ、NCロードスタースピーカーシステム、試聴していただけます。車両の仕度の都合があるので、何時ころに行きたいんだけど……的なお電話を事前にいただければ助かります。

I.Y.A.Garage 岩間くんへご連絡ください。
090-7630-1461


当日は、3Dフルシステムを装着したNDロードスターと、W124も試聴していただくことが可能です。



オーバーホール中のNCスピーカーシステムは、メインユニットを新調して、
2024_0911_04


いま、こんな状態です。試作中に必要だった書き込みも消して、きれいに掃除しました。
2024_0911_05




そうそう、そういえば、ポルシェ空冷911用スピーカーシステムの部品が届きはじめました。これはエンクロージャーです。取り付けちゃえば見えなくなる部分がいちばん変な格好です。はい、意味あるカタチだとご理解いただいて正解です。これから1つひとつ、わたしが手仕事で仕上げてゆきます。

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JBL BASSPRO HUB のこと。






みにくい「自前サーバーブログ」が続いていますが、もうしばらくご辛抱ください。facebookに寄せられた視聴環境ごとの見え方について、対策を検証しています。

ガレージでJBL BUSPRO HUB というサブウーファーを分解しました。A124(W124カブリオレ)にスピーカーシステムのフルシステムを組ませていただいたときに使用したものですが、故障してしまって取り外したものです。残念ながら保証書が見当たらないということで、新品をもういちどお買い上げいただくことになってしまったのですが、取り外した故障品はいつか復活させてやろうと思い取り置きしていたのでした。


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取り付けてDSPセットアップをする前、元気に鳴っていたときの動画です。もう4年も前なんですね。


今回、少しくらい修理に手間とコストが掛かってもいいから直してみようと思い、分解しました。PRT(プロテクション)という赤いLEDが点灯して、反応しなくなるという症状。ウェブで公開されている英語版の説明書によると、この赤いLEDは、回路のショート、電源電圧の過不足等の異常を検知したときに点灯するとのこと。使用開始後1年も経っていない機材なのでコンデンサーのパンクということはないでしょう、と。ハーネスの短絡か電子基板のはんだ付け不良か、ひょっとしたらはんだくずのような通電性のゴミでも転がっているか、そんな感じじゃないのかなと、楽観的にイメージしながら分解したのでした。

結論から言うと、目視で確認できるような不具合箇所はなく、これは余計なことを考えずに捨てることにしました。電解コンデンサー内部のショートとか、スピーカーユニットのコイルが擦れて短絡しているとか、パワートランジスターがパンクしたとか、いろいろ考えられるんですけど、テキトーなことをして、仮に音が出るようになったとしても火が出たりするとタイヘンなことになりますから。


2024_0910_02-2


それにしてもJBL BASSPRO HUB、これがたった5万円で買えたんですね、という内容です。密閉型の2分割式エンクロージャーと、スピーカーユニットを保護するためのカバーは、すべてアルミダイキャスト製です。11インチ=28センチ径のスピーカーユニットは、スペアホイールに取り付けるボルトが貫通できるよう、ドーナツ型の特殊な形状です。つまり、他の機材と共有の使い回し品ではなく、完全にこの機材のために作らたユニットということです。エンクロージャーの中に収まるパワーアンプの回路も、汎用のチップセットが載っかったものではなく、この機材のためのオリジナル回路だと思われます。電源部にも音声部にも大きなコイルを組み込み、大きな容量の電解コンデンサーをドカドカと……プリント基板のパターンをチェックしていませんが、並列につないで大容量のキャパシターとして電源系で使ってるのでしょう。もちろん半導体は、汎用のものを使っているのでしょうから、完全オリジナルではなく、アレンジメント回路ということだと思いますが、それでも十分に立派です。


2024_0910_02-3


1980年代〜1990年代中ごろの日本製オーディオ機材は、半導体まで独自設計の専用品がたくさん使われていましたが、今となってはAliExpressとかで1枚300円くらいで売られているような汎用のチップセットをアルミ筐体に入れてるだけの製品だったりします。数年前、アルパインとカロッツェリアのパワーアンプの中身が、電子基板のプリントパターンまでほぼ同じ……2万円程度の安い製品ではありましたが、そういう日本製になってしまったことをこの目で確認しちゃってからは、大きな看板で商売する作っている人の顔が見えない日本製オーディオ製品への期待も信頼も消滅してしまいました。創意に溢れていたあの頃から半世紀近く経ってるわけですから、という片づけ方ではよくないような気がしますが、変わってしまったという事実は受け止めておくべきでしょう。

JBL BASSPRO HUB、JBLのカーオーディオ部門が日本市場を撤退したことで手に入りにくくなり、それからいくらも経たないうちに、製品自体が廃番になってしまい完全に入手不可能になってしまいました。その後、確か1年くらいして、フランスのBLAMという会社から、まったく同じ筐体を使った製品が登場したのは奇跡のようにラッキーな出来事でした。今やハーマン/カードン、AKG、マークレビンソンと並んで韓国サムスングループの巨大な傘の下に入った名門ブランド"JBL"と、ホームページに会社のメンバーが写真付きで紹介されているような2013年創業の若くて小さな会社"BLAM"の間にどういうやり取りがあったのか知る由もありませんが、とにかくよかったよかった、ということです。JBL時代の2倍近い9万円という価格は、企業規模からイメージできる販売数を考えると妥当でしょう。


というわけで、残念ながら復活を目論んでいたJBL BASSPRO HUBは、燃えないゴミの日を待つことになりました。


そういえばちっとも関係ない話ですが、audison B-CON が2セット届きました。1台は週末までにマツダ・NCロードスターに、もう1つは今月中にポルシェ911/993に装着する予定です。

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911でフルオーケストラ






昨日(このブログを書き始めたのは、
まだかろうじて23日だったりします)、
今週末の試聴会のプレイリストを紹介
しました。


2024.07.27,28
【PORSCHE911 試聴会プレイリスト】


クラシック音楽の楽曲がありませんで
したね。

911でも用意したDSPのフルオーケ
ストラセッティングでは、ズービン・
メータ指揮ロサンゼルス・フィルハー
モニックが演奏する、ホルスト・組曲
惑星の木星を用意します。



1971年の録音ですが、数ある“惑星”
の演奏の中でも、随一の壮大さがある
わたしのお気に入りの音源です。

実は、amazon music にはラインナッ
プされていないようなので、わたしが
持っているハイレゾ音源をスマホに入
れておきます。

YOUTUBEで見つけたので、リンクを
貼っておきます。こんな演奏です。

【ホルスト組曲惑星/木星】
ズービン・メータ ロサンゼルス・フ
ィルハーモニックオーケストラ


それにしても、良質なアナログ録音素
材からデジタルにリマスタリングされ
た音源には、びっくりするくらいよい
ものが多いです。対して、データ密度
が粗だった頃の古いデジタル録音によ
る音源は、最新の技術で何をやっても
あまり蘇る感じがしません。アナログ
っていうのは、デジタルで言うと、帯
域は狭いけれども密度は目一杯濃い記
録ですものね。

DSPの本来の目的をまるで無視した
セッティングですが、聞いてくれた人
がこぞって驚いてくれるアイデア勝負
のセッティングです。

どうぞ楽しみにしていてください。

********************

【試聴会詳細リンク】

ポルシェ空冷911 完成記念試聴会、
関東の回に続いて、愛知県の日進市で
開催します。

開催概要は以下の通りです。

【中部試聴会】
7月27日(土)   10:30〜18:00 
7月28日(日)   10:30〜18:00 


《 Queen’s Classics 》
愛知県日進市香久山1-101

※今試聴会は、山口宗久の主催で行い
ます。会場をご提供いただくファクト
リーへの今件についての直接のお問い
合わせは、ご遠慮ください。

ご来場の方々が同時間帯に集中し、長
時お待たせすることを避けるために、
ご試聴枠の予約を受け付けています。

以下のサイトから、ご予約ください。

【PORSCHE 911
 スピーカーシステム試聴会・予約】


※途中、入会を促すメッセージが出ま
すが、「RESERVA会員以外の方」という
方からお進みください。

※ご予約なしでもご来場いただけますが、
お待ちいただく可能性がございます。


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PORSCHE911試聴会プレイリスト、公開






いよいよ今週末に迫った「ポルシェ空
冷911 完成記念試聴会」で使用する楽
曲のプレイリストを紹介します。


1「三日月」絢香
2「哀しみを、そのまゝ」小田和正
3「I LOVE…」Official髭男dism
4「Hotel California」Eagles
5「bad guy」Billie Eilish
6「優しさ」藤井 風
7「Domino Line」CASIOPEA
8「KOLN,JANUARY
        24,1975 PART I」
          Keith Jarrett
9「青い珊瑚礁」松田聖子
10「そして僕は途方に暮れる」
         大沢誉志幸
11「悲しい色やね
    〜Osaka Bay Blues〜」
    上田正樹&押尾コータロー
12「Parisienne Walkways(Live)」
           Gary Moore




2024.07.27,28
【PORSCHE911 試聴会プレイリスト】



IMG_5058

語り始めるとやたらと長くなるので、
まずはリンクからプレイリストの各曲
を聴いてみてください。

スピーカーシステムの作り手的には、
それぞれの曲に新しく完成した911ス
ピーカーシステムのポテンシャルを試
すための“聞きどころ”があるのです
が、それは試聴会場でお会いしたとき
にご希望であれば訊ねてください。

今回の変わりどころをひとつだけ言う
のであれば「青い珊瑚礁」と「そして
僕は途方に暮れる」そして、
「Parisienne Walkways(Live)」でしょ
うか。

どちらも比較的旧い録音の楽曲です。
「青い珊瑚礁」は日本の歌謡曲的な音
作りの代表のような音源ですし、1984
年発表の「そして僕は途方に暮れる」
はバブル全盛のいわゆるシティポップ
の代表曲、「Parisienne Walkways(Live)」
はとても荒削りな……語弊を恐れずに
言えば少し雑に感じられるくらいライ
ブの現場で録ったままの音を封じ込め
たアルバムからの音源です。

オーディオ装置は、高品位になればな
るほど、音源の録音や制作の良し悪し
が丸見えになってしまう傾向がありま
す。けれどもわたしは、オーディオ装
置を使って音観察をしたい人の気持ち
より、音楽を聴きたい人の気持ちを大
切にした音楽環境づくりをしたいと思
っています。

ロードスターでもあの頃系メルセデス
も、その気持を忘れたことはありませ
んし、新しいポルシェ用でもその想い
は変わりません。

学生の頃みんなでよく歌ったんだよな
とか、部屋にこもって浸っていたんだ
よなという時代の音楽を、大好きなク
ルマの中で新たな愛聴盤として再び取
り戻してほしい。そういう世代への楽
しみの提案として、採り上げました。

このプレイリストをスマートフォンに
ダウンロードして、ご自身の愛車で聴
きながら試聴会にお越しいただければ、
さらにいろいろな感想を持っていただ
くことができるのではないかと思いま
す。


ぜひ、お一人ずつゆっくりと時間を取
って、このプレイリストの楽曲を楽し
んでいただければと思っています。

下記のリンクから予約をしていただけ
れば、優先的に試聴していただけるよ
うに配慮いたします。


試聴会の概要は以下の通りです。どう
ぞお越しください。楽しみにお待ちし
ています。

*******************
ポルシェ空冷911 完成記念試聴会、
関東の回に続いて、愛知県の日進市で
開催します。

開催概要は以下の通りです。

【中部試聴会】
7月27日(土)   10:30〜18:00 
7月28日(日)   10:30〜18:00 


《 Queen’s Classics 》
愛知県日進市香久山1-101

※今試聴会は、山口宗久の主催で行い
ます。会場をご提供いただくファクト
リーへの今件についての直接のお問い
合わせは、ご遠慮ください。

ご来場の方々が同時間帯に集中し、長
時お待たせすることを避けるために、
ご試聴枠の予約を受け付けています。

以下のサイトから、ご予約ください。

【PORSCHE 911
 スピーカーシステム試聴会・予約】


※途中、入会を促すメッセージが出ま
すが、「RESERVA会員以外の方」という
方からお進みください。

※ご予約なしでもご来場いただけますが、
お待ちいただく可能性がございます。

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音楽は、心に響くもの。






“yamaguchi speaker system”の取り
付けとセットアップについてわたしが
100%監修するI.Y.A.ガレージでの記
念すべき最初の作品が、オーナー氏の
元に帰ってゆきました。

2023年9月12日のこの記念すべき出来
事について、facebookで簡単に紹介し
ました。それを読んだオーナー氏から
メールが届きました。


曰く、遠慮せずに書いてくれてよい、
という内容でした。一部紹介します。

『一部濁してありました部分、いつか
また私の記事を書くことがあれば、山
口さんの感じた事全て書いて下さい。

私の障害でも音楽を楽しめる魔法のシ
ステム、もっと広がったら良いのにと
考えておりました。

聴力の障害を持った方々に、少しでも
参考にしていただきたいのです。

音楽を楽しめない方々に1人でも多く
このシステムを認知し、導入されます
ように……』



LP


オーナー氏は、聴神経腫瘍摘出手術の
影響で、右耳の聴覚を5年前にほぼ完
全に失いました。それまでDJとして活
動するほど、つまり音楽を演出し、届
ける側に立つくらいに音楽と共にあっ
た生活は、突然失われてしまいました。

「失われたというより、全く変わって
しまった自身の感覚の変化に自ら失望
し恐れを感じ、自分から音楽を遠ざけ
てしまっていたのだと思う……」と初
対面のわたしに話してくれたのは、1
年半ほど前のロードスタージャンボリ
ーでのことでした。


その時のことは、以下のブログの後半
に書きました。読んでみてください。

【2022ロードスタージャンボリー】


先日ガレージで初めてお会いした奥さ
まが「姿が見えないと思ったら泣きな
がら戻ってきたのでどうしたのかと
思ったら、絶対にあれを自分のロード
スターに付けるんだって。何のことか
と思ったのは、これのことだったので
すね」と、過日のジャンボリー会場で
のことを教えてくださいました。



ジャンボリー会場での出会いから1年
半経った先日、自分のロードスターで
響く“あの時”の音楽と初めて対面した
ときの彼の様子です。


【2023.9.12. NAロードスター】



“あの時”とは、1年半前にジャンボ
リーの会場で試聴した音のこと……と
いう意味だけではありません。

1年半前に彼は、自然に溢れ落ちた涙
の理由をこう話してくださいました。

「片耳の聴覚を失って以来、どのよう
な環境で音楽を聞いても、以前のよう
に聴こえないということばかり気に
なって音楽がまったく楽しくなく、そ
れどころが辛さが湧いてくるような気
持ちになるので音楽を避けてきまし
た。ところが、このクルマで聴いた音
楽の響きには、音楽をまた楽しみたい
という気持ちにさせてくれる何かがあ
りました。聴覚を失う前の“あの時”
のように、また音楽が楽しめるような
気がします」



彼のブルーのロードスターでの試聴が
終わってから、人間の脳の不思議につ
いて二人で少し話しました。そして帰
宅後、一人でじっくり考えてみました。


片側の聴覚しか存在しない状況下で、
ステレオの、つまり左右の広がりの中
における音粒の位置関係が浮かび上が
るような音像体験をすることは、不可
能です。けれども彼は試聴の最中、か
つてDJとしてよく掛けていた楽曲の中
に、広がりのある音像を見ているかの
ような仕草をたびたびしていました。
そして楽曲のキメになるようなフレー
ズの音表情に、とても興奮しているよ
うでした。

二人で話したときに一致した一つの仮
説は、音楽を聞くことで脳内に記憶さ
れた既知の体験を読み出して、その記
憶を脳がリアルな現体験=聴覚として
意識させているのではないか、という
ものでした。

そして、これまでどのような環境で音
楽を聞いても実現しなかったその
”読み出し”が、ロードスターの中にわ
たしが創った音楽環境に身を置いた瞬
間に可能になった、といううれしい事
実でした。


わたしは脳神経の専門家ではないの
で、これ以上のことは語れませんし、
なぜわたしが創ったこのシステムで、
彼がそれまで経験できなかったような
体験が適ったのかについても正しくは
わかりません。

けれども彼の涙の意味が、失ってしま
ったと思っていた“あの時”の自分が
今もまだ自分と共にある……というこ
との発見と素直な感激にあったのだろ
うなと、そう感じています。

機能の一部を失調してもなお、音楽の
感激にむせぶことができるのだと教え
ていただきました。そして、そのよう
な体験を実現する一助になれたことを
素直に喜んでいます。




周波数特性であるとか、原音再生能力
であるとか、結果的にそのような指標
を考慮することがあったにせよ、そん
な事々よりも、グッとくるヤツ、とか、
自然に歌いだしたり体が動いたりする
感じ、とか、涙が止まらなくなるよう
な抑揚、とか、そういう事々に断然こ
だわってきたことに大きな勇気をいた
だけたような、今回の出来事です。

音楽は、心に響くものなのですね。





一生手放さないとおっしゃっていた
NAロードスター、どうぞこれからも
楽しまれてください。



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【報告】ロードスター ジャンボリー






ロードスタージャンボリーに参加され
た皆さん、3年ぶりの集いを満喫され
ましたでしょうか。

わたしは、スピーカーシステムを搭載
したNA、NB、NC、NDの4モデ
ルを会場に揃え、皆さんが待ちに待っ
たイベントを盛り上げる一助になれた
らという思いで参加させていただきま
した。



LP

かつて2代目、3代目の開発主査を務
められた貴島孝雄さんは、「それを運
転している人の存在が感じられないよ
うなクルマでは駄目だ。ロードスター
は、人生を豊かにするために生まれて
きたクルマなのだから」という意のこ
とをおっしゃいました。

4代目の開発主査を務められた山本修
弘さんは、「守るために変える」とい
う志を掲げ、ともすれば肥大化・巨大
化する世界の自動車づくりの潮流に引
きずられて、剛力至上主義、マシン至
上主義の波間にロードスターが消えて
しまうかもしれない危惧を感じ、社内
外にあった時流に沿った次期型を求め
る声の前に立ちふさがり、今どき世界
に類を見ない軽量小排気量のNDを送
り出しました。マシンオリエンテッド
な時流にあって、ヒューマンオリエン
テッドを守った快作がNDというクル
マです。

それらはすべて、初代主査を務められ
た平井敏彦氏が夢見た「誰もが幸せに
なれる(自動車づくり)」というスト
レートなメッセージをそれぞれの時代
で具現化するために必要な解釈だった
のだと思っています。

クルマという機械よりもまず人である。
そして我々の作品を選んでくださった
人々の豊かな人生の実現こそ、最優先
される性能指標なのですよ、というこ
とが明け透けに感じられる愛おしさが
四半世紀以上も揺るがない。

ロードスターなら安心して手に入れら
れる。ロードスターが我が家にやって
くればきっと素敵なことが始まる。そ
んな気持ちにさせてくれる理由は、こ
のように連綿と守られてきた
“一筋の律儀”にこそあるのではないか
と思っています。

さらに加えて言えば、人と人が直接会
い、表情を知り、言葉を交わし、意思
を交えることが、そのようなものづく
りや自動車趣味を楽しむことにおい
て、どれほど重要な役目を果たすのだ
ろうとも感じるわけで、コロナ禍が停
滞させた日常が回復する兆しとして、
3年ぶりに「ロードスタージャンボ
リー」が開催されたことの意味は、感
動的であると称してもよいほどの出来
事だと思います。


わたしも、ロードスターで音楽を楽し
む、という体験をしてくださった方々
からたくさんの感動をいただきました。
ものづくりをして、なにかの成果物を
提供する側に立つ者として、これ以上
の喜びと勇気はないだろう、というほ
どのこともいくつかありました。たっ
た一日のイベントであったのに、です。

その中の1つを紹介します。




その方は、とても遠慮がちにわたしの
NAに乗り込んできました。そして、
まだきちんと着席していない半身の体
勢で、こんなことをおっしゃいました。

「あの……自分は片方の耳が聞こえな
いんですが、そのような者でも大丈夫
なんでしょうか……」

もちろん! それは音楽を楽しむことの
本質に関係ありません。どうぞ座って
ください。

わたしは反射的にそう答えて、ドアが
閉まった車内でこんな説明をしました。


残念ながら片耳の聴覚でステレオとし
ての左右感や立体感を感じることは難
しいと思います。けれども、音楽の要
素はそれだけではありませんし、音楽
の感動を喚起させてくれる要因は他に
もたくさんあります。

高音域が聞こえにくいとか、低音域が
ビリビリ聞こえるとか、そのような方
からの相談は、これまでもありました。
例えば現代には、DSPという機材が
あります。実際に自分の愛車で大好き
な曲を聴いてもらいながら、自分の聴
覚の個性に合わせた音に調整すること
も可能です。技術っていうのはそうや
って使うものですから、決して特殊な
使い方とも思いません。

はい。はい。と頷いている彼の、なん
だか申し訳なさそうにしているよう様
子がとても気になりましたが、まず聴
いてみてください、と言って、曲をか
けました。用意した楽曲の中から、小
田和正の「哀しみを、そのまゝ」を選
んだと記憶しています。耳の様子がわ
からないので、低音域が薄く、高音域
の刺激も少ない音源です。

曲が始まってすぐに、うわぁ……とい
う声が聞こえました。大きな声ではな
く、息を飲み込むような声でした。そ
してその後すぐに、綺麗だ……すごく
綺麗です、と言ったっきり、何も言わ
なくなってしまいました。

曲が始まって1分も経たないうちに、
しゃくりあげるような気配が感じられ
たので、そっと彼の方を向きました。
彼は、ぽろぽろと涙を流して泣いてい
ました。時々息をつまらせて、嗚咽に
近いような泣き方をしていました。


彼の様子が落ち着くまでに少し時間が
かかりましたが、それからこんなこと
をわたしに話してくれました。

音楽を演っていたそうです。DJだっ
たんだと教えてくれました。けれども、
3年ほど前に、突然片耳の聴覚を失い、
それ以来、音楽を楽しむことがなくな
ってしまい、むしろ音楽を避けていた
のだそうです。

ロードスターは、それ以前から所有し
ていて、今でも大切にされているそう
です。わたしが、「ロードスターの
オープンエアドライビングを音楽と一
緒に楽しもう!」という目標を掲げ
て、スピーカーシステムづくりをして
いることも知っていたそうです。

ほんとにそんなことができるのだろう
か。もしできたら最高に素敵じゃない
か。でも、自分は片耳の聴覚を失って
しまったのだから、もう楽しめない……。


今日ジャンボリーの会場に来て、わた
しのNAに乗り込み、一曲目を聴くま
でに、3年間に及ぶ葛藤や悩みがあっ
たのだろうと想像します。そして音が
聞こえたその瞬間、いくらでもあふれ
る涙が止まらないほどの何かが彼の心
に起こったということだと思います。

クルマから降りる間際「音楽がまた好
きになりそうです」と言ってくれまし
た。

私の方こそ、とてつもなく大きな感動
をいただいた時間でした。




彼の涙や感激には、その瞬間に至るま
での出来事や心に刻んだ物語という伏
線があってのことだと理解しています。

けれども、そうであったとしても、こ
のような、つまりわたしのほうこそ大
泣きしてしまいそうなのを抑えるのが
必死なほどの気持ちの交流ができたこ
とに、とてつもなく大きな価値を感じ
ています。それこそが、視線を交える
こと、表情を知り合うこと、声を聞く
こと……つまり現実の出来事としてリ
アルな現場で感じ合うことの意味だと
確信しています。


2022 ロードスタージャンボリーで起
こったたくさんの事事のうちのひとつ。
雨降りの午前中、幌が閉まって窓が曇
り、誰にも様子を知られないわたしの
黄色いNAロードスターの中で起こっ
た出来事を紹介しました。




まず人がいる。
そして人のそばにロードスターがいる。

この並びこそが、ロードスターの心で
あり、その他のスポーツカーと同属に
区分けされない極めて重要な誕生の初
心であり、いばらの道をかい潜りなが
らも連綿と守り続けられてきた
“創り手と使い手の双方にとって大切な
約束事”なのだから。


そのことを、また確かめることができ
た2022ロードスタージャンボリーでし
た。


ロードスタージャンボリーの開催を大
雨の中支えてくださった運営スタッフ
の皆さん、そしてわたしの活動に協力
してくださった仲間たちに、大きな謝
意を示したいと思います。多謝。


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