オートサロン
ロードスター12Rと普通の2リットル
2025/01/15 02:16 Filed in: クルマの話
オートサロンで発表された2リットルエンジンのロードスター幌車x2種類、長い前振り期間を経てようやくの発表だが、発表後も相変わらず賛否があるようだ。さくっと眺めて回っただけだが、ネット上ではけっこう罵倒に近い言い合いになっている様子も散見される。
価格のことを言う書き込みが多く目に留まるけど、価格は全然高くないと思う。絶対額の高い安いという感覚は、その人の収入かまたは価値観が支配的なので、公の場で議論になりにくい要素と感じる。なのでもう少し正確に言うと、割高ではない。
アメリカでのロードスター幌車(もちろん2リットル)の販売価格は、約3万USD〜。本日の円・ドル相場が158円/USDなので、円に置き換えると480万円〜。オートサロンで発表されたスタンダード仕様の2L幌車が500万円台。グローバル価格設定としては、ちっとも高くない。むしろ為替のことだけで考えると、1.5の幌車=320万円〜、RF=380万円〜という日本の現行価格がとんでもないバーゲンプライスになっている。もしこの日本価格が、1USD=115円のとき(3年前)に設定されたものなら、1.5の幌車の価格はアメリカ仕様を基準には計算しにくいけど、RFは今すぐに530万円〜に変更されてもおかしくないことになる。
同じく、700万円後半と発表された特製仕様の12R。仮に800万円だとすると5万USDとなる。105円/USD(4年前まではこんな感じだった)なら525万円だった、本日現在 158円/USDなので800万円。2021年だったら200台限定の特製車が525万円で買えたのにというだけの話で、実はちっとも割高ではない。
肝心なことは、そこではない。なにしろ説明不足が度を超している。

写真:マツダ株式会社
1989年以来、マツダがというより、むしろユーザーたちが築いてきた世界的にも希有な「ロードスター"仲間"」と呼んでも過言ではないユーザー同士のコミュニティ的な雰囲気が、高いだの安いだの(3000万4000万の話じゃないんだよ、たかだか500万800万程度の話なのに)、速いだの遅いだの(500馬力800馬力の話じゃないんだよ、何年も前から売られている現行のハチロクの方がずっと速いという程度の話なのに)ということでグラグラになってしまっているような気配を感じる。モデル4世代にわたってヒエラルキーのないほんとうに希有で素敵なユーザーたちの世界観に、メーカーが競争原理を持ち込むのであれば、なるほど! と納得できるような、もっといえばそれを糧にさらに"仲間感"が深まるような懇切丁寧な説明が不可欠。
「手組みで特製なので800万円、素のやつもあるよ500万円。1.5か2.0かは自分たちで決めてね」
これでは、35年間ありがとうございました、みたいなことになっちゃうんじゃないかということに、個人的には気を揉んでいるわけです。だって、未曾有の好景気という奇跡の時代背景も助力になって町場で自然に生まれて育ったこの雰囲気(つまり「文化」です)ですから、一度崩れたら修復不可能だと思うから。ロードスター界隈を包むあの雰囲気を「文化」と定義するなら、少なくともメーカー主導(それがマツダでなくても)で再生・構築できることではないから。生活実用車の枠外に販路を求める種類の自動車が常に抱えている、民の心離れたらオシマイ、というキワキワの線をよくぞ35年間もトレースできたものだと心から尊敬しているから。
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